2009年 01月 19日
ワールド・オブ・ライズ |
原題は『BODY OF LIES』なんだ。
長いと感じさせなかったけど、終わったら腹にずっくりきた疲れる映画だった。
世界では実際こういうことが起きていて、嘘に左右されながら知らない間に巻き込まれて安穏とした生活が突如として閉ざされてしまう現実がいっぱいあるということ。対岸の火事では済まされなくなっている、テロ天国の我が国も。
宗教との関わりがどんどん薄れる私達は、彼らの信教も精神をも理解することができる日なんてきっと来なくて、わけも分からないまま、激流に翻弄されるだけに違いない。
良かれと思うことが悪しきことでしかない異文化があるということを、誰もが認識し尊重しなければ同じ惑星の上に共存などできないのだ。
自分をアメリカだと言うラッセルクロウ演じるCIAの地域主任。その傲慢さが畏怖と軽蔑を同時に生み出す。自分たちが正義だと言い切れるあの国は、実際さんざん私達の事も巻き込んでいる。大画面で映画を見るような感じで、規模はだいぶ違うけどそれこそ「事件は現場で起きている」だ。
平和ボケする己が非常に怖いなと思いながら、それでもディカプリオの男臭さにくらくらした。
中近東でスパイをしているから、ブルーアイズをコンタクトで変え、髪も染めて挑んだフェリス役。傷だらけの男ってなんでこんなに色気があるんだろう。
彼がタフガイを演じるようになるなんて本当に最初の頃は想像もしていなかったけど、セクシーさとはまた違った、直接的ではない色気があるように感じるのは、きっと随分と長いこと見てきたから。
それにしても…、最初の方で、爆撃されてひっくり返った車の後部座席からフェリスを引っ張り出すヘリの要員達が、彼を「資料」呼ばわりしていたのが、実にショックだった。命がけの諜報員は単なる駒でしかない。確かにそういう現実は存在しているんだろうけど、たった一人を守れない国家が何を守れるのかと、奇麗事かもしれないが考えさせられる。
そういやホアキン・フェニックスがワンカットだけ出ていたようだったが、エンドロールで確認するのを忘れていた。
by disegno
| 2009-01-19 20:38
| みる-鑑賞-